高知県議会 > 2022-06-15 >
06月15日-04号

  • "高知県議会"(/)
ツイート シェア
  1. 高知県議会 2022-06-15
    06月15日-04号


    取得元: 高知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年  6月 定例会(第362回)-----------------------------------        令和4年6月15日(水曜日) 開議第4日-----------------------------------出席議員       1番  濱口涼子君       2番  槇尾絢子君       4番  上治堂司君       10番  田中 徹君       12番  野町雅樹君       13番  横山文人君       15番  加藤 漠君       17番  弘田兼一君       19番  桑名龍吾君       23番  西森雅和君       25番  依光美代子君       26番  大石 宗君       27番  武石利彦君       28番  田所裕介君       29番  石井 孝君       30番  橋本敏男君       31番  上田周五君       32番  坂本茂雄君       33番  岡田芳秀君       34番  中根佐知君       35番  吉良富彦君       36番  米田 稔君       37番  塚地佐智君欠席議員       3番  桑鶴太朗君       5番  土森正一君       6番  上田貢太郎君       7番  今城誠司君       8番  金岡佳時君       9番  下村勝幸君       11番  土居 央君       14番  西内隆純君       16番  西内 健君       18番  明神健夫君       20番  森田英二君       21番  三石文隆君       24番  黒岩正好君-----------------------------------説明のため出席した者  知事         濱田省司君  副知事        井上浩之君  総務部長       徳重 覚君  危機管理部長     中岡誠二君  健康政策部長     家保英隆君  子ども・福祉政策部長 山地 和君  文化生活スポーツ部長 岡村昭一君  産業振興推進部長   沖本健二君  中山間振興・交通部長 中村 剛君  商工労働部長     松岡孝和君  観光振興部長     山脇 深君  農業振興部長     杉村充孝君  林業振興・環境部長  豊永大五君  水産振興部長     松村晃充君  土木部長       荻野宏之君  会計管理者      池上 香君  公営企業局長     笹岡 浩君  教育長        長岡幹泰君  人事委員長      門田純一君  人事委員会事務局長  澤田博睦君  公安委員長      古谷純代君  警察本部長      熊坂 隆君  代表監査委員     五百藏誠一君  監査委員事務局長   高橋慎一君-----------------------------------事務局職員出席者  事務局長       山本和弘君  事務局次長      横田 聡君  議事課長       吉岡正勝君  政策調査課長     田渕史剛君  議事課長補佐     杉本健治君  主幹         春井真美君-----------------------------------議事日程(第4号)   令和4年6月15日午前10時15分開議第1 第1号 令和4年度高知県一般会計補正予算 第2号 職員の育児休業等に関する条例の一部を改正する条例議案 第3号 職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例議案 第4号 高知県税条例等の一部を改正する条例議案 第5号 半島振興対策実施地域における県税の不均一課税に関する条例及び高知県過疎地域における県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例議案 第6号 高知県地方活力向上地域における県税の特例措置に関する条例の一部を改正する条例議案 第7号 高知県議会の議員及び高知県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用並びにビラ及びポスターの作成の公営に関する条例の一部を改正する条例議案 第8号 高知県所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第9号 高知県特定公共賃貸住宅の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 第10号 高知県建築基準法施行条例の一部を改正する条例議案 第11号 高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 第12号 権利の放棄に関する議案 第13号 国道441号防災・安全交付金(口屋内トンネル(Ⅰ))工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第14号 都市計画道路はりまや町一宮線防災・安全交付金工事請負契約の一部を変更する契約の締結に関する議案 第15号 高知県公立大学法人に係る中期目標の一部変更に関する議案 報第1号 令和3年度高知県一般会計補正予算専決処分報告 報第2号 高知県税条例等の一部を改正する条例の専決処分報告第2 一般質問   (1人)-----------------------------------   午前10時30分開議 ○仮議長(弘田兼一君) これより本日の会議を開きます。----------------------------------- △諸般の報告 ○仮議長(弘田兼一君) 御報告いたします。 議員桑鶴太朗君から、所用のため本日の会議を欠席したい旨届出がありました。----------------------------------- △質疑並びに一般質問 ○仮議長(弘田兼一君) これより日程に入ります。 日程第1、第1号「令和4年度高知県一般会計補正予算」から第15号「高知県公立大学法人に係る中期目標の一部変更に関する議案」まで並びに報第1号「令和3年度高知県一般会計補正予算専決処分報告」及び報第2号「高知県税条例等の一部を改正する条例の専決処分報告」、以上17件の議案を一括議題とし、これより議案に対する質疑並びに日程第2、一般質問を併せて行います。 19番桑名龍吾君。   (19番桑名龍吾君登壇) ◆19番(桑名龍吾君) 自由民主党の桑名龍吾でございます。議長のお許しをいただきましたので、質問に入らさせていただきます。 コロナ禍も3年目となりました。6月8日に公表された1月から3月期の国内総生産は、年率換算で前期比実質0.5%のマイナスとなりました。これは、全国各地でまん延防止等重点措置が取られ、飲食や観光などの個人消費が落ち込んだことが影響していると分析されております。4月から6月期は、3年ぶりの行動制限のない大型連休で多くの人が動いたことから、民間予測平均では3.7%の増が見込まれていますが、一方、長引くウクライナ情勢エネルギー価格など物価の高騰が続いており、先行きが楽観できる状況ではありません。これに対応すべく、国会は先日、原油価格・物価高騰等総合緊急対策に基づく補正予算2兆7,000億円を成立させました。 まず、現在の本県における経済状況をどのように分析しているのか、知事にお聞きいたします。 このような経済の状況下、来年度以降、国や県が講じてきた実質無利子・無担保融資の本格的な元金返済が始まります。これらの融資制度があるからこそ、このコロナ禍を乗り切ってきたものと思います。しかし、コロナ禍が長引いた上、物価の高騰があり、返済原資の確保が困難になる事業者も多くいると推察されます。 県は、金融機関や商工会議所、商工会などと連携し、新型コロナウイルス感染症で影響を受けた事業者に対し経営改善に取り組み、ポストコロナ時代への対応を進め売上高を回復させるという、いわゆる伴走型の支援を行っていますが、支援を受けている事業者からはどのような声が届いているのか、知事にお聞きをいたします。 また、この国や県の実質無利子・無担保融資は来年度より本格的に返済が始まりますが、返済が自己破綻や倒産のきっかけになってはいけません。コロナ禍における経営支援は、金融支援と並んで、販路開拓や商品開発、デジタル技術を活用した広報活動や営業戦略など、ポストコロナを見据えての経営基盤を強化するための本業支援が大変重要になってまいります。 金融支援はそれぞれの支援策が講じられていますが、本業支援は事業者とともに考える、寄り添った支援が必要です。その支援に当たっては、関係機関が連携して取り組むことが重要であり、金融機関はもちろんのこと、事業者に身近な地元の商工会議所や商工会の経営指導員の果たす役割は大きなものがあります。しかしながら、申請業務や日々の地域活動で経営指導員の多忙感も聞こえてきます。 地域において経営支援の核となる商工会議所や商工会の経営指導員の活動をどう支えていくのか、知事にお聞きをいたします。 他県においては既に返済が始まっておりますが、売上げがコロナ前に戻らず、経営がさらに悪化し、返済負担が重くのしかかっている事例も多くあり、超長期の借換え融資制度のニーズもあると聞こえてきます。 昨年の6月議会でも同様の質問をさせていただきましたが、来年度から本格的な元金返済が始まる実質無利子・無担保融資について、県としてどのような対応を考えているのか、知事にお聞きをいたします。 コロナ禍に加え、燃油価格の高騰の影響により、公共交通事業者や運輸事業者は厳しい局面に立たされております。運賃への転嫁が図られればよいところですが、利用者や荷主もそれぞれが影響を受けており、運賃アップにはつながっておりません。 さて、今議会において、公共交通を維持・継続させるために、バス、路面電車、タクシー事業者には給付金制度が設けられました。しかし、トラック事業者には燃油高騰対策は講じられておりません。地産外商をさらに拡大するためには物流の基盤が安定しなければなりませんし、また南海トラフ地震や大規模災害の応急復旧・復興にもトラック事業者の御協力が不可欠です。 今般の燃油高騰対策において、四国運輸局長から知事宛てに、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用によるトラック事業者を含む運輸交通事業者への支援について文書での依頼があったと存じます。愛媛県では6月議会において、トラック輸送燃油高騰対策として、普通車1台当たり5万2,000円、小型車1台当たり2万5,000円の支援をする事業が提案をされております。 商流の要であり、災害時には命をつなぐ役割を担うトラック事業者への支援を検討していただきたいですが、知事にお聞きいたします。 燃油や資材の高騰で、建築業界がその対応に苦慮しております。あわせて、サプライチェーンの混乱で、資材の調達困難の事態も起こしております。今後、資材価格が短期間で上昇することで、契約時の金額では完成できない事態も予測されます。このような事態を招かないためにも、実勢に応じた発注単価の早急な改定、物価スライドの円滑適用、工期の弾力的な対応が求められます。 公共工事では、賃金や資材などの変動があった場合、請負額の変更ができるスライド条項が設けられております。県は、単品スライドを適用すると聞いております。単品スライドとは、鋼材類、燃料、生コンクリート、セメントの対象資材の価格が上昇し、その値上がりが全体工事費の1%を超えた場合のみ適用されます。しかし、土木工事では取り扱う品目が少ないため、単品でも全体工事の1%を超える場合もありますが、建築工事では取り扱う品目が約30品目と多く分散され、単品の値上がりで全体の工事費が1%を超えることはまれなケースです。建築工事の資材高騰に対して、新潟県や東京都八王子市では、対象項目が多く、ほとんどの工事が対象となり、利益圧迫の救済措置としては有効なインフレスライドが適用されました。 県として、公共工事における建築工事の資材高騰にどのように対応していくのか、土木部長にお聞きをいたします。 災害時において支援が必要な小児などの医療体制について質問をいたします。 県は、災害時において妊産婦や新生児に対して適切な支援を提供するために、周産期医療災害ワーキングにおいて関係者間の情報共有方法や災害時周産期リエゾンの役割及び位置づけを検討し、周産期医療分野に特化した災害時の体制整備を進めております。この中にある災害時周産期リエゾンとは、災害時に保健医療調整本部において災害医療コーディネーターをサポートすることを目的として県により任命された者です。2019年度には、高知県災害時周産期マニュアルが策定され、災害時周産期リエゾンも任命され始めております。これは、東日本大震災や熊本地震で小児・周産期医療が混乱をし、その反省から生まれた対応策であり、本県においてもその体制をさらに充実させていかなければなりません。 そこで、災害時周産期リエゾンの体制の充実に向けて今後どのように取り組んでいくのか、健康政策部長にお聞きをいたします。 国は災害時小児周産期リエゾンとしていますが、本県は災害時周産期リエゾンとなっており、周産期医療のみと限定され、医療的ケア児や医療を必要とする小児が対象となっておりません。 災害時の医療を必要とする小児を含んだ医療体制の構築に向けて、本県の災害時周産期リエゾンの役割に小児への支援を含めるべきと考えますが、健康政策部長にお聞きをいたします。 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が昨年施行されました。その附則には、施行後3年以内に災害対策について検討することが明記されていますが、いつ来るか分からない災害には迅速に備える必要があります。 本県においては、今年度から災害時における個別計画などの策定に医療的ケア児等コーディネーターが参画する仕組みが構築されております。対象者が少ない地域は比較的進んでおりますが、対象者の多い高知市では、人工呼吸器など電源確保が必要な医療的ケア児について一部の策定にとどまり、胃ろうだけなど、その他の医療的ケア児等の策定はほとんど進んでいないとの声も聞こえてきます。 また、医療的ケア児等の避難場所、電源確保、資器材の備蓄、情報共有の在り方、関係機関との調整など、整理すべき課題が検討されていないため、計画をつくっても、災害時、実際の対応ができるのか、命が守れるのかという不安の声も届いております。 特に電源や在宅酸素の確保については、高知県南海トラフ地震時重点継続要医療者支援マニュアルに基づいた対策だけでは十分ではなく、今まででは、在宅で医療機器を使用する方々の命を守ることはできないという意見も聞いており、具体的な対策が急がれます。 地域で継続して勉強会や避難訓練等を実施し、当事者家族も参加して医療的ケア児等の災害対策を検討していくことが、地域のネットワークづくりや日頃の在宅生活の安全・安心につながるものではないかと考えます。今後、災害時個別支援計画個別避難計画を策定するときは、その計画が実行性あるものにするために、関係者と協議の上進めていくことも重要と考えます。 今後、どのように医療的ケア児を含めた継続して医療が必要な方への災害対策を講じていくのか、健康政策部長にお聞きをいたします。 災害時、避難所となる学校体育館の冷暖房設備の設置について質問をいたします。 学校体育館は、平時は学校スポーツ活動の拠点であり、災害時は避難所としても活用されます。災害は、季節を問わず起こります。猛暑や酷寒の時期の災害では、高齢者や障害者などのいわゆる災害弱者の避難者における二次被害が想定され、避難所のさらなる機能強化を早急に進めていかなければならないと考えます。また、平時のスポーツ活動においても、熱中症対策としても検討していかなければなりません。 国は、避難所に指定されている学校体育館の冷暖房設備の設置において、緊急防災・減災事業債が活用できるとしております。徳島県においては、この緊急防災・減災事業債を活用し、「県立学校体育館快適避難所空調設置モデル」事業」として、徳島県立鳴門渦潮高校の体育館に冷暖房設備を設置しました。 本県においても、命をつなぐ避難所となる県立学校体育館の冷暖房設備の設置は必要と考えますが、教育長にお聞きをいたします。 さて、徳島県立鳴門渦潮高校では、体育館の冷暖房設備にLPガスを利用したガスヒートポンプエアコンであるGHPを採用しました。他県においても、多くの体育館の冷暖房設備はLPガスGHPを採用しております。 LPガスは、化石燃料の中でも二酸化炭素の排出が少ないエネルギーで、容器による個別供給であり、災害時にも被害を受けにくく、迅速な復旧が可能です。2011年3月11日に発生した東日本大震災では、各エネルギーの全面復旧は、LPガス4月21日、都市ガス5月3日、電力6月18日との報告もあるところです。本県においても、総合防災拠点となる春野総合運動公園体育館の冷暖房設備は、LPガスGHPを採用しております。 LPガスGHP設置に関する国の支援策は、経済産業省のLPガス災害バルク等の導入補助金や環境省の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金などが講じられております。 さらに、さきの5月27日には、高知県グリーンLPガスプロジェクト推進会議が設立されました。これは森林資源や海藻などのバイオマスからガスを生産させるための技術開発や事業化に向けた環境整備を行うもので、事業化が実現した際には、既存のLPガス容器や設備を利用しながら、化石燃料由来のLPガスからグリーンなLPガスへの変換が図れるものと伺っております。 本県が目指す災害に強い県土づくりに加えて、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組といった視点からも、避難所となる県立学校体育館の冷暖房設備としてLPガスGHPの採用は時機を得たものと考えますが、教育長にお聞きいたします。 南海トラフ地震発生時の水の確保について質問をいたします。 災害発生時の水は、応急対策期においては飲料水やトイレ、風呂、歯磨き、洗濯などの生活水、医療用としては人工透析、手術など、復旧対策期においては家屋や家財などの洗浄、応急復旧施設の建設などに用いられます。災害発生時の水の役割は、単なる飲料水だけではなく、応急復旧対策を進めていく上で重要な役割を果たし、災害の規模が大きくなればなるほどその重要性は高まっていきます。 しかし、災害発生時と同時に上水道は使用不可能と想定すべきであり、復旧に必要な人的・物的資源を考慮すると、復旧には少なくとも1か月は必要と考えるべきです。特に、長期浸水地域となる高知市ではさらに時間がかかる見込みです。県の備蓄方針では、復旧までの水の確保手段として、飲料水の備蓄は3日分とし、4日目以降は国など外部からの支援物資として搬入されることが前提となっていますが、飲料水を含め大量の水が必要と考えます。 県として、県民の命を守り、生活を支え、復旧にも必要となる水の確保についてどのように考えるのか、健康政策部長にお聞きをいたします。 水の確保は各市町村が計画をしなければなりませんが、市町村は物資が不足したら県に要請する仕組みになっております。水をはじめとした物資の要請は、ほとんど全ての市町村から行われると想定しておかなければなりません。被害状況や人的・物的資源の状況により、県として要請に十分に応えられない可能性もあります。 市町村の多くの要請に的確に応えるためには、要請自体を少なくしていかなければならないと考えます。また、ペットボトルでの備蓄は限界があり、浄水器装置の設置など、機動的な対応が必要となってきます。このようなことから、水を最重要物資と位置づけ、市町村が自前で確保できる仕組みを県全体で検討することが望まれます。 県として具体的に飲料水の確保をどのように進めていくのか、危機管理部長にお聞きをいたします。 ひきこもり支援の推進について質問をいたします。 国は、ひきこもり状態にある方やその家族はそれぞれ異なる経緯や事情を抱えており、生きづらさや孤独の中で日々葛藤していることに思いを寄せながら、時間をかけて寄り添う支援が必要であるとし、様々な支援策を講じております。そのひきこもり支援は、生活困窮者自立支援法を根拠に進められております。 しかし、KHJ全国ひきこもり家族会連合会の皆さんからは、「これまでのひきこもり支援は労働施策としてつくられた若者就労支援と同様とされ、就労だけを目的とする施策が中心であった。しかし、ひきこもりに至る経緯は背景も状態も一人一人違うため、従来のパターン化した対応ではミスマッチとなり、トラブルやリバウンド、自殺のリスクもある。また、厚生労働省のガイドラインでは精神医学的観点が強調された診断ありきの枠組みとなっており、診断に抵抗感を持つ本人や家族などの多様なニーズの受皿になり得ず、行政サービスのはざまに取りこぼされ、ますます問題を潜在化させる要因にもなっている」と指摘をされております。 さらに、同連合会では、ひきこもり支援が法制度のはざまに陥ることがないよう、ひきこもり基本法の制定を要望しております。自民党も政府に対し、2021年5月の提言書で、ひきこもり政策そのものを推進するための基本法の制定を求めました。 こうした動きも踏まえて、ひきこもりの方々への支援にどのように取り組んでいくのか、知事にお聞きをいたします。 さて、本県においては、全市町村にひきこもり相談窓口を設置し、相談体制の充実強化を図ったところです。また、2022年度は、支援の5つの柱である情報発信・早期把握、相談体制の充実強化、当事者及び家族への支援、社会参加への支援、支援機関の取組の支援を拡充しております。 その中で、当事者や家族から期待されている、ひきこもり経験者やその家族によるピアサポート相談や社会参加へつながる居場所の提供は、ひきこもり支援の核として欠かせないものであると考えます。県の委託事業では当事者や家族に寄り添うピアサポーターの処遇改善をしていただいておりますが、継続的な活動をしてもらうためには、予算面や人的配置にも配慮が必要と考えます。また、訪問型支援についても人材の養成が必要です。 ピアサポーターや訪問型支援の人材育成についてどのように充実をさせていくのか、子ども・福祉政策部長にお聞きをいたします。 今年4月に、神奈川県横浜市がひきこもり支援の強化のため、ひきこもり支援課を新設し、併せてひきこもり相談専用ダイヤルを開設したとの報道がありました。今後は、このような各市町村の取組を期待するところです。 社会参加へつながる居場所の設置や支援機関の取組を充実させるためには各市町村の理解が必要となりますが、ひきこもり支援の充実に向けた市町村の課題と今後の対応について、併せて子ども・福祉政策部長にお聞きをいたします。 特別養護老人ホームの整備について質問をいたします。 現在、国は、特別養護老人ホームを開設する場合、介護が必要となった状態でもごく普通の生活が営め入居者の尊厳を保つよう、ユニット型個室の整備を進めるとしております。厚生省令では、1室の定員は1人とし、入居者へのサービスの提供上必要と認められる場合は2人とすることができるとなっております。また、これは都道府県が条例を定めるに当たっての参酌すべき基準であり、地域の実情に合わせて県独自の基準を設けることができるようになっております。 本県においては、国の基準に沿って条例を定めており、施設整備を行う場合はユニット型を原則とし、ただし書において、多床室の整備を行う場合は1室当たりの定員を2人までとしております。しかし、ユニット型の居室は、従来型の多床室と比べ利用者負担が、私が聞いた施設では月額1万6,000円から3万円の増加となります。低所得者の高齢者が多い本県では、入所をためらわざるを得ない状況になるおそれがあります。また、介護職員などの人員配置も、ユニット型の場合多床室に比べ多く必要となります。本県においては、2025年には介護職員が550人不足するという予測も出されております。 他県においては、利用者の経済的課題や介護人材の不足を補うためにも、ユニット型を基本としながら、従来型の多床室の整備も併せて進めていく例も多くなってきました。2013年4月の厚生労働省の調べでは、都道府県、政令指定都市、中核市全108自治体のうち、本県と同様の「定員1人、ただし入居者へのサービスの提供上必要と認められる場合定員2人」は、29自治体となっております。一方で、「定員1人、ただし一定の条件の下、2人以上4人以下とすることができる」は65自治体、「定員4人以下」は14自治体となっており、全国の自治体の70%以上が居室の定員を4人以下としております。さらに、今回本県と同様に定員を2人としている29自治体に調べたところ、そのうち11自治体が4人以下まで基準を緩和していることが分かりました。 こうした状況を踏まえ、本県における特別養護老人ホームの1室当たりの定員の基準についてどう考えるのか、子ども・福祉政策部長にお聞きをいたします。 食料安全保障の強化について質問をいたします。 日本の食を取り巻く環境は、食料自給率の低迷、農業生産基盤の弱体化、多発する自然災害、世界的な人口増加、国際化の進展という5つのリスクを抱えていると言われております。これらのリスクに対し、国は食料安全保障の強化に取り組むこととなりました。しかし、この5つのリスクに加え、長引くコロナ禍やウクライナ情勢が要因となって、生産資材の高騰や物流の混乱など、食料安定に係るリスクが現実的なものになってきました。 この状況の中で早急に対応していかなければならないことは、農業経営に及ぼす影響が大きい生産資材価格の高騰対策と考えます。特に肥料の原料の国際価格は、外国の内需優先政策による輸出規制や主要輸出国の供給不安により、2021年1月比で約3倍から5倍と史上最高高値まで上昇をし、JA全農においては、6月から10月に販売する肥料を前期に比べ最大94%値上げすると発表しました。同様に燃料や飼料の高騰もありますが、燃料や飼料はセーフティーネット対策が講じられております。しかし、肥料高騰における対応策はない状態です。肥料の安定供給ができないことが離農のきっかけになってはいけません。 目の前の課題である肥料の高騰にどのように取り組んでいくのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 さて、食料安全保障の強化に向け、まずは国内農業生産の増大を図らなければなりません。日本の食料自給率は2020年度カロリーベース37%であり、主要国では際立って低い状況です。さらに、主食である米は、生産技術の発展や国民の米離れもあり、毎年供給過多の需給情勢が続いております。そのあおりを受け、米価も下落。高知県産コシヒカリは、60キロ当たり、2020年産米1万5,021円が2021年産米1万3,555円と、1,466円の下落となりました。 本県は園芸農業が盛んであり、米の主産地ではありませんが、米作りは農業の基本であり、シンボルでもあります。日本の米作りを守るためにも、供給過多にならないよう生産調整を行わなければなりませんが、併せて米の消費拡大も図っていかなければなりません。昨今では、米を食べると太るということで、米を食べないダイエットがはやっております。しかし、日本人は2,000年も前から米を食べております。これは、米が日本人の体に適しており、必要な食べ物であることを表しているのではないでしょうか。 パンや麺類は原料が高騰し商品の値上げを余儀なくされておりますが、幸いにも米の価格は下落をしております。私はパンや麺類も大好きですが、今こそ米の価値を再確認することは、食料安全保障の強化につながるものであり、生産地の生産基盤の安定にも寄与するものであります。 米の消費拡大に向けた取組について農業振興部長にお聞きをいたします。 高知市三里地区の農業用水について質問いたします。 当地区は、グロリオサや新ショウガの産地であり、グロリオサにおいては、インターナショナルフラワートレードショーでグランプリを受賞するなど、世界的にもその品質は認められております。また、新ショウガも3億円を超える生産額があり、当地区ではグロリオサと新ショウガで合わせて約10億円の生産を行っております。 三里地区は、以前は養鰻業が盛んで、昭和50年代に工業用水の供給が始まりましたが、養鰻業からグロリオサや新ショウガへの転換があり、それに伴う水利用が生まれてきました。工業用水を利用したかんがい用水事業で7,935メーターのパイプラインを敷設し、現在に至っております。 しかし、その用水施設も老朽化や、パイプラインが県道に敷設されており、昨今の交通量や大型車が通る関係でパイプラインが破裂する事態が多発しております。直近の5年間で修繕費は約1,000万円にもなっています。これらの修繕費は利用者が負担をしており、利用を控える人も多くなってきました。 また、工業用水の利用料金は公営企業局との契約が責任水量制となっており、利用者の減少から農家1戸当たりの負担額が増えております。水が命である農業において、その確保が困難な状況で、当地区では今後の生産の継続ができるのか不安を抱えている状況です。 高知市は、今後の三里地区の用水の在り方を検討するために、国の事業で機能診断調査を行いました。調査結果を受け、県としてどのように対応していくのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 県内では、このような老朽化した農業施設の更新に当たり、高齢化や農家の減少があり、地元負担が困難であるという声も聞くところです。県としてこのような声にどう応えていくのか、農業振興部長にお聞きをいたします。 水産振興について質問をいたします。 先月の高知新聞に、「宇佐ウルメ 5カ月漁獲ゼロ」と大きな見出しでの報道がありました。このウルメイワシの不漁だけでなく、本県の漁業生産量も減少傾向にあります。これは地球温暖化による海水温の上昇が要因で、漁場の環境が変化をしてきているからとの指摘もあります。とりわけ沿岸の漁業者からは、出漁しても魚が捕れない、また、出漁しても燃料や資材の高騰、魚価の安値などで赤字になるなら出漁を控えるとの声も聞こえてきます。 土佐湾は、太平洋側におけるイワシ類の主要な産卵海域となってきた、貴重な価値ある漁場です。これを生かしていかなければなりません。昨年6月本会議で、沿岸漁業の振興をどう図るか質問をいたしましたが、本県沿岸漁業を取り巻く情勢はさらに悪化していると感じております。水産振興の施策は多くありますが、漁場の整備は行政しかできない事業でもあります。昨年の沿岸漁場の整備についての質問に対し、黒潮牧場の整備とイセエビを対象にした漁場整備を行うとの答弁がありましたが、黒潮牧場まで出漁できない高齢の漁業者や小型漁船の漁業者への対応も講じていかなければならないと考えます。 改めて、今回も沿岸漁場の整備について具体的な対応策を水産振興部長にお聞きいたします。 国は、昨年5月に農林水産業においての地球温暖化に対する取組を定めた、みどりの食料システム戦略を策定しました。また、戦略の実現に向け、本年5月にみどりの食料システム法が公布されたところであります。 みどりの食料システム戦略は、2050年までに農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現を掲げ、中長期な観点から、食料・農林水産業の生産向上と持続性の両立をイノベーションで実現することを目標としております。水産関係では、漁船の電化、燃料電池化やブルーカーボンの推進によりカーボンニュートラルに取り組むとしております。また、本戦略が目指すKPIは、2030年までに漁獲量を2010年と同程度の444万トンまで回復させるとなっております。今後は、この戦略に基づき水産政策が組み立てられていくものと考えます。 本県においては、漁場整備の振興が図られたなら、これまで沖合まで出漁にかかっていた燃料が削減され、ついては二酸化炭素の削減にもつながっていくものと考えます。 国のみどりの食料システム戦略を踏まえ、県として水産業のグリーン化にどのように取り組み、成果を出していこうとしているのか、水産振興部長にお聞きをいたします。 水産行政の方針は、水産基本法が基となっております。その第5条は、地方公共団体は国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的、経済的、社会的諸条件に応じた施策を策定し、実施する責務を有すると定められております。また、第11条には、国の水産基本計画を5年ごとに更新するとしております。 本年3月に新しい水産基本計画と漁港漁場整備長期計画が策定されましたが、県は新たな計画についてどのように受け止め、具体的にどのように推進をしていくのか、水産振興部長にお聞きいたします。 第1問とさせていただきます。   (知事濱田省司君登壇) ◎知事(濱田省司君) 桑名議員の御質問にお答えをいたします。 まず、現在の本県における経済状況についてお尋ねがございました。 本年3月のまん延防止等重点措置の全面解除以降、全国的に社会経済活動が段階的に回復をしつつあります。こうした中、日本銀行高知支店発表の金融経済概況によりますと、本年4月の県内の百貨店、量販店などの小売売上高は前年比で増加に転じるといったことなど、個人消費も回復をしつつあります。また、観光面では、本年4月の県内主要観光施設への入り込み客数が前年比で13.7%増加したほか、主要旅館、ホテルの宿泊客数も前年比で41.6%増加しております。 このように、本県経済は総じて持ち直しの動きが続いていると見られますけれども、業種別に見ますと、飲食、宿泊、交通などに関しましては、まだまだコロナ前と比べまして厳しい状況が続いておるというふうに考えております。 一方、国内の状況に目を向けますと、原油価格の高騰に加えまして、ウクライナ情勢などにより原材料価格が上昇をし、先月の国内企業物価指数は前年と比べて9.1%上昇いたしております。こうしたことに起因して、高知市におけます本年4月の消費者物価指数は前年比で1.9%上昇いたしました。このような物価の高騰が今後の個人消費あるいは企業活動を下押しし、コロナ禍からの社会経済活動の回復の妨げとなることが懸念をされるところであります。 今後も、新型コロナウイルス感染症や原材料価格の動向などの影響を受けまして、不確実な状況が続くものと考えられます。引き続き、国や日本銀行高知支店、経済団体とも連携をいたしまして、県内の経済状況の把握、分析を的確に行い、必要な施策を講じてまいります。 次に、いわゆる伴走型の支援を受けておられる事業者の方々からはどのような声が届いているのかというお尋ねがございました。 お話がありましたように、大変厳しい経済状況の中で、本県では経営改善に取り組まれる事業者に対しまして、金融機関などの関係機関と連携をしながら、いわゆる寄り添った支援、伴走型の支援を実施いたしております。 こうした中、こうした支援を受けられている事業者の方からは、例えば売上げを伸ばしていけるような支援をお願いしたいでございますとか、先行きが不透明なため今後の経営に不安を感じているといった声、さらには電気やガス、資材などが高騰をし、自己資金も乏しいため新しいことに取り組みにくいといったお話をお伺いいたしております。 こうした声にも対応いたしまして、今議会において本県経済の早期の回復に向けた予算案を提案いたしております。例えば、売上げが落ち込んでおります飲食店の需要回復に関しましては、「食べて!飲んで!高知家応援キャンペーン」を実施してまいります。また、連続テレビ小説らんまんの放送開始を起爆剤といたしまして県全体の観光の底上げを図っていくため、万全の準備を進めてまいる、こういうことによって不透明感の払拭を図りたいと考えます。 さらに、原油高騰などの影響を受けておられる事業者の方々の新たな取組、そして省エネ設備の導入などにつきましても、しっかり後押しをしてまいります。 引き続き、関係機関と連携をし、事業者に寄り添った支援を行いながら、事業者の方々の声にも耳を傾けまして、必要な対策をしっかりと検討し行ってまいります。 次に、商工会議所あるいは商工会の経営指導員の活動をどう支えていくのかについてお尋ねがございました。 小規模事業者が多い本県にとりまして、商工会議所、商工会の経営指導員は、事業者の身近な相談相手といたしまして地域地域で大変重要な役割を担っていただいております。特にこの2年間は、コロナに関係いたします給付金などの申請の相談などが増えまして、経営指導員の方々の負担が増しているというふうに考えております。また、原油や原材料などの高騰が進んでおりまして、経営指導員の力が地域の事業者にとってますます必要となっていると、そういう状況にあると考えております。 このため、県では、これまでにも経営指導員の支援力の向上を図るという考え方から、スーパーバイザーあるいは経営支援コーディネーターといった人員を配置いたしまして、経営指導員に対する実践的なサポートなどを行ってまいりました。具体的には、経営計画の策定と実行に向けましたOJT方式によります個別指導でございますとか、資金繰りなど専門性を高めるための集合型研修などを実施してまいっております。 また、コロナに関係する業務の増加に対しましては、業務量に応じて補助金の追加配分を行いました。さらに、今後はより一層事業者に業務の効率化が求められますことから、今年度新たにデジタル化支援アドバイザーを商工会連合会に配置いたしたところであります。 今後も、先行きが不透明な経済情勢が続くことが予想される中、事業者が抱える経営上の課題も多様化、複雑化するものと考えられます。そのような中にありましても経営指導員が地域の事業者から頼られる存在であり続けられますように、引き続き個々のスキルアップなどにも向けて必要な支援を行ってまいります。 次に、いわゆる実質無利子・無担保融資への対応についてお尋ねがございました。 新型コロナウイルス感染症対策の国の融資を利用した多くの事業者の元金返済は、来年5月から始まります。また、県のコロナ対策融資を利用した多くの事業者の元金返済は、再来年の3月から始まることになります。昨年の6月議会でも御答弁申し上げましたように、コロナ対策として実施をした国や県の融資の返済が事業の休廃止などの引き金になってはならないというふうに考えております。 このため、まずは今議会にも計上しております例えば飲食店の需要回復に向けた予算なども活用いたしまして、県経済の早期回復に努めてまいります。償還を円滑にしていただける、そういう環境づくりをまず目指してまいりたいと考えております。 あわせまして、融資の円滑な返済につなげるためには、事業者が行います収益力の改善などの取組に対する支援も大変重要になってまいるところであります。こうしたことから、国におきましては、本年4月に中小企業の収益力改善そして事業再生などを一元的に支援いたします中小企業活性化協議会を全国に配置し、本県にも配置がされまして、事業者に対する支援を行っているところであります。 県といたしましては、金融機関、商工会などの関係機関に加えまして、この協議会のメンバーである専門家の方々とも密に連携をしながら、引き続き寄り添った支援に努めてまいります。その上で、返済開始時点におきまして十分に経済状況が回復をしていないという場合には、県の融資に係る返済期間の延長なども含めまして必要な支援策を検討してまいる考えであります。 また、国の融資の出口対策につきましては、本県だけでなく全国的な大きな課題であります。このため、返済開始時点の経済状況を見極めまして、必要に応じて全国知事会あるいは他の都道府県とも連携をしながら、新たな支援策について国にしっかりと提言をしてまいります。 次に、トラック事業者への支援についてお尋ねがございました。 現在、国内の燃油価格は、国の燃料油価格激変緩和対策事業の実施によりましてさらなる上昇は抑制をされております。ただ、依然として昨年同期比では1リットル当たり20円程度、レギュラーガソリンや軽油は高い水準にあるわけであります。 こうした中、トラック事業者に対しまして国は、燃油価格上昇分が適切に運賃に反映をされるように、荷主への協力要請や相談窓口の設置などの対応を行うこととしております。県といたしましても、トラック事業者の負担の早期緩和に向けた価格転嫁の取組を継続、徹底するように、この4月に国に対して提言を行いました。 他方、先月県内の事業者に行ったヒアリングにおきましては、事業者の方々から、県内の荷主数十社にお願いに回ったけれども数社しか価格転嫁を了承してくれなかったでございますとか、燃油価格の増加分が経営を圧迫しているといった声、さらには荷主も燃油高騰でダメージを受けておりトラック事業者だけが価格転嫁を行うことはできないといった非常に厳しい状況もお聞きをいたしております。 議員から御指摘がございましたように、トラックは本県の物流の基幹であります。災害時におきましても、救援物資の緊急輸送など重要な役割を担っていただいております。また、先般策定をされました国の骨太の方針におきましても、ウクライナ情勢の長期化に伴う原油価格、物価のさらなる高騰の可能性など、予断を許さない状況は続くというふうに見込まれているところであります。 こうしたことを踏まえまして、トラック事業者への支援に関しましては、引き続き国に対して激変緩和対策事業の延長でございますとか価格転嫁の取組のさらなる強化を求めてまいる考えであります。あわせて、県独自の取組につきましても、他の運輸交通・観光事業者などに対します支援措置との関係も考慮しながら、幅広く検討してまいります。 最後に、ひきこもりの方への支援についてお尋ねがございました。 ひきこもりの方は、人間関係や病気、障害など様々な要因を背景といたしまして複雑な課題を抱えておられます。御本人やその御家族の状況に応じて、一人一人に寄り添った支援が必要であります。 これまで県におきましては、ひきこもり地域支援センターによる専門的な支援でございますとか、令和元年度に設置いたしました検討委員会の参加機関によるネットワークの構築などに取り組んでまいりました。直近では、千原ジュニアさんを起用いたしまして、ひきこもりに対する正しい理解の啓発、あるいは市町村の相談窓口の周知といった取組を積極的に進めております。令和3年度には、全ての市町村で相談の窓口が整備をされまして、ひきこもり相談から支援につなげた件数が前年度比で1.8倍となるなど、これまでの取組の成果が表れつつあります。 しかしながら、関係機関相互の連携を図りますプラットフォームの設置は県内では22市町村にとどまっておりまして、ひきこもりの方々の実態、ニーズの把握も道半ばといった課題もあると考えております。議員からのお話にございましたひきこもり政策の基本法制定などの動きにつきましては、こうした課題の解決に向け、本県の取組の後押しとなるものと考えております。 加えまして、ひきこもりの方を含む生きづらさを抱えた世帯の課題に幅広く対応するため、昨年4月に社会福祉法が改正、施行をされました。これにより、いわゆる地域共生社会の推進といたしまして、相談支援、そして孤立を防ぐ地域づくりを一体的に実施できるような多機関協働型の包括的な支援体制を整備していくということが市町村の努力義務とされるということとなったわけでございます。この支援体制は、ひきこもりの方などを早期に発見し、制度のはざまに陥ることなく、関係機関が協働して適切な支援につなぐためには大変有益な枠組みであるというふうに考えております。 このため、県では、全ての市町村におきましてこうした包括的な支援体制が早期に整備されますように、新たに専門アドバイザーを設置いたすというような取組も含めまして、市町村を強力に後押ししてまいります。あわせまして、あったかふれあいセンターを活用いたしました就労体験などのいわゆる居場所づくりでございますとか、農福連携によります社会参加の場の創出などにも全力で取り組んでまいりたいと考えております。 私からは以上であります。   (土木部長荻野宏之君登壇) ◎土木部長(荻野宏之君) 公共工事における建築工事の資材高騰に県としてどのように対応していくのか、お尋ねがございました。 公共工事では、通常の合理的な範囲を超えるような急激な賃金や資材の価格変動のリスクを受注者のみが負担することがないよう、請負金額の変更ができるいわゆるスライド条項が契約書に設けられております。建築工事におきましても土木工事と同様に、単品スライドだけでなく、全体スライド、インフレスライドを含めた3種類の中から受注者が選択して発注者と協議できる仕組みとなっております。 近年、県が発注する建築工事ではスライド条項を適用した事例はございませんが、市町村が発注する建築工事については複数の適用事例がございます。最近の急激な資材価格などの高騰を受け、県が発注した工事において複数の受注者からスライド条項の適用について現在相談を受けているところです。 今後、受注者からスライド条項の適用の申請があった場合は、受注者のみが価格変動のリスクを負うことがないよう適切に対応してまいります。また、市町村に対しても、営繕業務の担当者会議などを通じて、適用事例や具体的な積算方法などの情報共有を積極的に図ってまいります。   (健康政策部長家保英隆君登壇) ◎健康政策部長(家保英隆君) まず、災害時周産期リエゾンの体制の充実、また災害時周産期リエゾンの役割に小児の支援を含めることについてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えさせていただきます。 本県における災害時周産期リエゾンの配置につきましては、現在厚生労働省が実施する養成研修を受講した医師や助産師17名の方を県が委嘱しております。今後の体制の充実に向けては、大規模災害時に保健医療調整本部活動の長期化が想定されることから、さらに多くの医師などにリエゾンとして参画いただく必要があるため、計画的な人材育成を継続してまいります。 また、災害時に小児・周産期医療に関する情報を集約し適切に発信することや、避難所での乳幼児、妊産婦のニーズに対して必要な対応を図るためには、平時からの連携体制の確立とリエゾン活動の実効性を高めていく必要がございます。引き続き、保健医療調整本部震災対策訓練を通じまして、スキルの向上や災害医療コーディネーターなどとの連携強化を図ってまいります。 次に、医療的ケア児を含めた災害時の小児の医療体制についてですが、県としましても、小児科や産科の医師数が限られている本県の現状を踏まえますと、周産期と小児の医療を総合的に調整することが望ましく、小児・周産期リエゾンとして体制を拡充すべきと考えております。今後は、高知県産婦人科医会や高知県小児科医会など関係者の皆様の御協力を賜りながら見直しに向けた作業を進め、医療的ケア児を含めた小児の災害時の医療体制の充実に取り組んでまいります。 次に、今後どのように医療的ケア児を含めた継続して医療が必要な方々への災害対策を講じていくのかについてのお尋ねがございました。 医療的ケア児を含めた継続して医療が必要な方は、命の維持、医療的ケアを継続するために個々の状況に応じた災害時の計画作成が極めて重要になります。このため県としましては、平成28年に作成した高知県南海トラフ地震時重点継続要医療者支援マニュアルに基づき、市町村の支援計画の策定を支援してまいりました。昨年、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が制定され、災害時について今後検討するとされたところですが、改正災害対策基本法により避難計画の策定が市町村の努力義務化されたことも踏まえて、県としましては避難計画の策定を加速化したいと考えております。 議員の御指摘にもありましたように、各計画を策定する上では、市町村をはじめ医療的ケア児等コーディネーター、医療機器取扱業者など支援関係者が御本人や御家族と話し合いながら実効性のある計画を策定することが重要になります。 県としましては、今年度から、計画策定に参画する医療的ケア児等コーディネーターに対して年内を目途にフォローアップ研修を開催し、研修カリキュラムに個別避難計画などの作成支援に関するロールプレーを加えます。あわせまして、コーディネーターが個別避難計画などの作成に参画しやすくするためのサポートを行うなど、支援体制の充実を図ることとしております。 今後は、毎年作成した計画の情報更新を行うとともに、訓練を実施するなど、実効性をさらに高めてまいりたいと考えております。 次に、南海トラフ地震発生時の水の確保についてお尋ねがございました。 災害発生時の水の確保に向けては、市町村における重要給水施設への基幹管路の耐震化対策や、災害などで断水した場合に備え、応急給水対策などに取り組むことが重要であると考えております。 このうち、応急給水対策については、災害の発生したときに水をためておくことができる配水池の耐震化を進めるため、平成28年度に市町村に対する補助事業を創設し支援してまいりました。配水池の耐震化率は、令和3年3月の時点において78.3%、給水量に換算しますと約16万4,000トンの水の確保ができると見積もっております。これは、70万人の県民が1日当たり6リットル使用すると仮定いたしますと39日分に相当する水量となります。 このような確保した水を災害拠点病院、救護病院、人工透析病院などの重要医療施設や避難所など必要とする場所に必要な量を配送するためには、事前に給水先の施設や給水量、また給水車や給水タンクで飲料水を運搬する給水方法などを定めておくことが必要になります。このため、市町村において、令和6年度を目途に応急給水計画--水道BCPといいますが--の策定作業を進めております。市町村の応急給水計画の策定状況は令和3年度末で4市町ですが、本県が実施した国に対する政策提言により令和3年度から補助制度が新たに創設されたことから、令和4年度にはその制度を活用するなどして新たに14の市町村が応急給水計画を策定する予定となっております。 今後は、応急給水計画の策定過程で明らかとなった給水車や資機材不足などの課題について対策を講じ、南海トラフ地震対策行動計画に位置づけるとともに、資機材の備蓄などの市町村の取組が一層進むよう、国に財政支援の創設について引き続き政策提言してまいります。   (教育長長岡幹泰君登壇) ◎教育長(長岡幹泰君) 避難所となる県立学校の体育館への冷暖房設備の設置とLPガス利用のガスヒートポンプエアコンの採用についてお尋ねがございました。関連しますので、併せてお答えをさせていただきます。 学校の体育館は、子供たちの学習や運動の場であると同時に、その多くが災害時の避難所となっていることからも、冷暖房設備の設置の必要性につきましては認識もしているところでございます。ただ、体育館への冷暖房設備の設置は1か所当たり1億円程度の費用が必要となりますことから、地方債の措置があるとはいえ多額の一般財源を必要とすることになります。このため、毎年全国知事会あるいは全国都道府県教育長協議会などを通じまして、国に対し補助制度の創設を要望しているところでございます。 また、冷暖房設備を設置する場合には、設置後の運用方法やランニングコストなどの面から、設備の種類、方式などについての検討も必要になります。議員のお話にありましたLPガスを利用したガスヒートポンプエアコンは、環境への負荷また災害時における早期の復旧といった点で優れておりまして、大変有力な選択肢になると考えております。 県教育委員会といたしましては、県立学校の体育館への冷暖房設備の設置やその方法について、先進県の取組も情報収集しながら、設置費用やその財源の確保、運用面の有利性やコストなど幅広い観点で検討してまいりたいと考えております。あわせて、避難所の環境の在り方につきましては、南海トラフ地震をはじめとした災害対策に関わることでございますので、知事部局の関係部署とも協議を行っていきたいと考えております。   (危機管理部長中岡誠二君登壇) ◎危機管理部長(中岡誠二君) 南海トラフ地震発生時における飲料水の確保についてお尋ねがございました。 県では、平成17年度に設置した応急対策ワーキンググループにおいて災害時の備蓄方針を定め、その後の大規模災害で明らかになった課題なども踏まえ、令和3年度には避難所外の避難者なども考慮した備蓄方針に改定しました。この備蓄方針では、個人による備蓄を原則とした上で、県や市町村による備蓄について、最低限必要となる品目や量などを定めています。 このうち飲料水の個人備蓄については、県民の皆さんに3日分以上の備蓄を呼びかけていますが、令和3年度の地震・津波県民意識調査では、必要量を備蓄している方の割合は4割弱にとどまっています。このため、量販店の協力を得ながら、身近で取り組みやすいローリングストックの啓発を行っているところです。 一方、市町村における飲料水の備蓄については、対象者を31万人と想定し、1人1日当たり3リットルを備蓄する方針としていますが、膨大な量となるため、保管場所の確保や避難所への輸送などが課題となっています。このため県では、市町村が設置する備蓄倉庫への財政支援を行うとともに、市町村には避難所への分散備蓄を促しているところです。 公的備蓄については、令和9年度までに完了させることを目指していますが、飲料水はおおむね5年ごとに交換が必要であり、県や市町村にとって将来的にも大きな財政負担となるため、今後備蓄以外の手段も併せて検討していく必要があると考えています。その手段の一つとしまして、例えばお話にありました浄水装置の活用が考えられ、既に各市町村では様々な性能の浄水装置を導入していますが、必要数量の精査、イニシャルコスト、維持管理費用などの課題もあります。このため、浄水装置を活用した防災訓練などを通じてその有用性などを確認した上で、運用方法などについて市町村と共に検討していきたいと考えています。   (子ども・福祉政策部長山地和君登壇) ◎子ども・福祉政策部長(山地和君) まず、ピアサポーターや訪問型支援の人材育成についてどのように充実させていくのかとのお尋ねがございました。 県では、令和2年度にピアサポートセンターを開設し、ひきこもりの経験者であるピアサポーターによる、ひきこもりの方やその家族に対する来所や電話、訪問での相談支援などに取り組んできたところです。こうしたピアサポーターによる支援は、ひきこもりの方はもとより、御本人の将来や日々の接し方などについて悩みや苦しみを抱えられている御家族の安心にもつながるなど、大変重要なものと考えております。そのため、引き続きピアサポーターとなるための研修受講への支援を行い、計画的に拡充してまいります。加えて、ピアサポートセンターに対しまして、ひきこもりの専門的な支援機関である県のひきこもり地域支援センターが専門的な立場からの助言等を行う場を定期的に設けるなど、ピアサポーターの育成支援や連携を強化してまいります。 ひきこもりの状態にある方の自宅等への訪問型支援を行う市町村職員等につきましても、ひきこもりに関する専門知識への理解を深め、専門性を高める必要があります。そのため県では、ひきこもり地域支援センターにおいてひきこもりに関する理解を深め、支援の実践方法を学ぶ人材育成研修を引き続き実施してまいります。 さらに、今年度は、各支援者が活用することで支援者の育成や支援者同士の円滑な連携につながるよう、これまでの事例を基にした相談支援のハンドブックを新たに作成し、市町村における福祉や医療、教育、地域の多職種が連携した体制の整備を支援してまいります。 こうした取組によりピアサポーターやひきこもり支援を担当する関係職員等の人材育成を行い、ピアサポーター等による相談しやすい環境づくりをさらに推進してまいります。 次に、ひきこもりの支援の充実に向けた市町村の課題と今後の対応についてお尋ねがございました。 ひきこもりは、様々な要因によって社会的な参加の場面が狭まり、就労や就学などの自宅以外での生活の場が長期にわたって失われている状態にあるとされております。このため、関係機関の相互の連携を図るプラットフォームを設置し支援内容を検討することや社会とつながる場所である居場所を増やしていくことが必要となってまいります。 こうした中、市町村にあっては、プラットフォームの設置数が22にとどまっており、多機関が連携して支援を行う体制のさらなる充実が求められております。また、居場所につきましては、県が把握しているもので18か所にとどまっていることや地域も偏在している状況ですので、居場所の創出が課題となっております。 プラットフォームにつきましては、分野横断的な相談支援や孤立を防ぐ地域づくりを実践する包括的な支援体制を整備することが有効であることから、専門アドバイザーを活用することなどにより市町村の体制整備を支援してまいります。加えて、県のひきこもり地域支援センターや福祉保健所がプラットフォームでの協議に参加することなどを通じて、市町村の支援力の向上に取り組んでまいります。 居場所につきましては、あったかふれあいセンターにおける居場所の拡大への支援を強化するとともに、NPO法人や家族の会などによる居場所づくりを支援してまいります。また、プラットフォームに、より多くの地域団体やNPO、民間企業等に参画いただき、官民が一体となって取り組むことでひきこもりの方が安心して過ごせる場所の選択肢を増やしてまいります。 いの町では、医療、保健、教育、労働、民間事業者等の連携によるネットワークを構築するとともに、専任の保健師の配置などにより、ひきこもりの方を居場所や就労につなげる先進的な取組が始まっております。今後は、このような好事例を横展開するなど、地域での支援体制の充実を図り、御本人やその御家族の状況に応じて一人一人に寄り添った支援につなげてまいります。 県としましては、こうした取組によりまして、市町村におけるひきこもりの方への支援を充実してまいります。 最後に、特別養護老人ホームの1室当たりの定員の基準についてお尋ねがございました。 本県の特別養護老人ホームの居室の定員につきましては、「高知県指定居宅サービス等の事業等の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準等を定める条例」におきまして、省令で定める基準の例によると規定しており、1室の定員は1人とし、必要と認める場合は2人となっております。 議員のお話にありましたように、国の省令は条例を定めるに当たっての参酌すべき基準であり、各自治体が地域の実情に応じて独自の基準を定めることとしております。各都道府県の状況につきましては、「定員1人、必要と認める場合は2人」としているのは本県を含め4県、「定員1人で、一定の条件の下で2人以上4人以下」は35都道府県、「定員4人以下」は8県となっております。平成28年に定員の基準を改正した滋賀県では、利用者のニーズを踏まえ、選択肢の幅を広げるため、定員の上限を2人から4人に緩和したとお聞きをしております。 本県の基準の考え方は、国の方針に基づき、入居者一人一人のプライバシーを確保し、ケアの質を向上させるため、ユニット型の個室を推進する観点によるものでございます。本県のユニット型個室の割合は平成29年で全体の約25%と、全国平均よりも約20ポイント下回っており、ユニット型個室をさらに推進していく必要があると考えております。一方で、本県における平成25年の基準条例の制定以前から設置をしております定員3人及び4人の居室は、条例の経過措置により引き続き運営が可能となっておりまして、令和4年5月末時点で全体の約43%となっております。 特別養護老人ホームの居室の定員基準につきましては、ユニット型個室が少ない一方で定員4人の居室が全体の約4割を占めている本県の現状や、43の都道府県が定員の上限を4人以下としていることなどを踏まえ、今後の利用者数の見込みや地域のニーズなどについて市町村や関係団体の御意見もお聞きしながら、定員の基準の在り方について検討してまいります。   (農業振興部長杉村充孝君登壇) ◎農業振興部長(杉村充孝君) まず、肥料の高騰に対する取組についてお尋ねがございました。 世界的な肥料需要の高まりに、肥料原料の産出国による輸出規制や急激な円高、さらにはウクライナ情勢などが重なったことで肥料価格が過去に経験のない水準にまで高騰しており、農家の経営を直撃しております。 こうした中、国は、6月7日に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針2022、いわゆる骨太の方針の中で、肥料価格急騰への対策の構築等の検討を進めることを明記しており、早急に制度化していくことを期待しているところでございます。県としましては、この動きを注視しますとともに、必要に応じて提言などを行ってまいりたいと考えております。 一方で、県における取組としましては、肥料コストの低減に向けて2つのことを徹底してまいりたいと考えております。1つ目は、作物に与える肥料の量の適正化を図ることでございます。具体的には、これまでも農業振興センターやJAなどでは土壌診断を行い、最適な肥料の使用量を計算して農家に提案してきましたが、改めてJAの生産部会などを通じて、多くの方に土壌診断に基づいた肥料の使用を呼びかけてまいります。 2つ目は、価格が高騰している化学肥料の使用量の低減を図ることでございます。具体的には、化学肥料に比べ値上がり幅が低い有機質肥料の利用や肥料効果が見込める堆肥の利用などを提案してまいります。 これらの肥料コストの低減に向けた対策を取りまとめ、農業振興センターやJAなどを通じて農家の皆様に周知し、取組を広げてまいります。 次に、米の消費拡大に向けた取組についてお尋ねがございました。 我が国の主食である米は、古くから日本の食文化を育むとともに、水田の美しい景観や伝統文化を生み出してきました。しかしながら、食生活の多様化や人口減少などにより米の消費量が年々減少する中で米価も下落傾向にあり、これにコロナ禍による外食需要の減少が追い打ちをかけております。 こうした状況を踏まえ、県産米の消費拡大の取組を強化しているところであります。昨年度は、県の地産地食応援キャンペーンの中で、食事のメニューに県産米を使った飲食店が100店舗登録され、食事を通じて県民の皆様へのPRが図られたところでございます。一方で、コンビニエンスストアに提案しましたおにぎりなどへの県産米の利用につきましては、現在採用しているお米は食味や食感などを分析し、最適な品種や産地を選んでいることから、県産米を採用するのは容易でないという回答をいただいております。 こうした成果や課題も踏まえ、今年度はもう一段取組を強化することとしております。具体的には、JAグループにおいて新たにSNS広報による若い世代への呼びかけを行うとともに、新米を購入していただいた方へのプレゼントキャンペーンを実施することとしております。また、JAグループと県が開設したネット通販サイトとさごろにおいて、8月から11月にかけて県内各地で収穫される新米などを県外の方にも定期購入していただけるよう準備を進めています。さらには、県におきましては、県職員に対して県産米の積極的な購入を呼びかけるとともに、包括協定を締結している企業などに対しましては、新米の社員向け販売や社員食堂での県産米の利用などを提案してまいります。 これらの取組により、今後とも農家の皆様が意欲を持って米作りを続けられるよう、オール高知で県産米を応援し、消費する機運を高めてまいります。 次に、高知市が行った三里地区の用水の在り方を検討するための機能診断調査についてお尋ねがございました。 高知市三里地区は古くから施設園芸が盛んで、現在約27ヘクタールの農地でグロリオサや新ショウガなどが栽培されており、栽培に必要な用水は県道春野赤岡線や市道などに敷設された全長7,935メートルのパイプラインで送水されております。このパイプラインは昭和51年度に整備され、46年が経過していることから、お話にございましたように近年老朽化による漏水などの修繕が多くなってきており、利用者である農業者の負担が増えていることは認識しております。 このため、昨年度に高知市において、国の国庫補助事業を活用し、パイプラインの全延長のうち幹線部分の約5,400メートルの機能診断を行っております。この機能診断では、約4,700メートルの区間で経年劣化や車両の荷重による破損などが見られ、長寿命化対策が必要であるとの診断結果となっております。 この結果を受け、施設管理者のJA高知市と利用者の農業者、高知市などの関係者において対策の方針の協議を行い、本年度中には方針を決定すると聞いております。この協議の際には県も参加し、営農に必要な用水を送水しながら整備する手法などの技術的な支援や有利な国庫補助事業の提案などを行い、パイプラインの長寿命化対策の早期事業化に向けて取り組んでまいります。 最後に、老朽化した農業用施設の更新に伴う地元負担についてお尋ねがございました。 老朽化した用水路などの農業用施設を更新するに当たっては、施設の利用者が限られていますことから、一定の地元負担が必要となってまいります。一方、農業者の減少等により施設の維持管理費に充てる1人当たりの賦課金が増加傾向にあることに加え、近年の肥料や資材の高騰等による生産コストの増加によりまして、農業者の経営は大変厳しい状態にあります。また、施設を更新する費用につきましても、資材の高騰などにより増加傾向になっております。このような情勢の中では、お話にございましたように、農業用施設の更新費用をなかなか負担できないといった声が上がるなど、厳しい状況にあることは認識しております。 県としましては、こうした状況も踏まえ、老朽化した施設を更新する場合の工法の選定に当たっては、最寄りの農業振興センターが、例えば単なる施設全体を更新する工法だけでなく、老朽度合いに応じた部分的な改修や補修による安価な工法を提案するなど、技術支援を行ってまいります。あわせて、活用する事業の選定に当たっては、例えば小規模な施設の更新では地元負担を必要としない多面的機能支払交付金もございますことから、このような有利な交付金や国庫補助事業の活用を提案するなど、農業者に寄り添って、地元負担の軽減につながるよう努めてまいります。   (水産振興部長松村晃充君登壇) ◎水産振興部長(松村晃充君) まず、沿岸漁場の整備に係る具体的な対応策についてお尋ねがございました。 漁業者の高齢化などにより、近場の漁場の重要性は高まっております。このため県では、市町村や漁協が行うイセエビやイシダイなどの磯魚を対象とした岩などを投入して整備する魚礁などについて、国の事業を活用して整備を支援してまいりました。今後も市町村などと連携し、近場でも一定の漁業収入が見込める漁場の整備を支援してまいります。 また、これまでに県や市町村が本県沿岸域に整備してきました海底にコンクリートブロックなどを設置する沈設型魚礁がございます。こちらにつきまして、漁業者の皆様に一層利用していただけるよう、魚礁の位置や規模などの情報を昨年7月に改めて県内の漁協に周知いたしました。さらに、現在県では、高知マリンイノベーションにおいて海況データや予測情報などを一元的に発信する情報発信システムを構築しているところです。このシステムを活用して魚礁の情報を他の情報と合わせて漁業者に分かりやすく提供することで、さらなる魚礁の利用促進につなげてまいりたいと考えております。 こうした取組を通じて、沿岸域での漁業生産量の確保を図ってまいります。 次に、国のみどりの食料システム戦略を踏まえ、水産業のグリーン化にどのように取り組み、成果を出していくのかとのお尋ねがございました。 みどりの食料システム戦略は、お話にもありましたように、食料・農林水産業の生産力の向上と持続性の両立をイノベーションで実現することを目指しております。水産関係では、資源管理や人工種苗による完全養殖、ブルーカーボンの推進によるカーボンニュートラルに取り組むものでございます。 漁船漁業では、資源管理などにより2030年までに漁獲量を2010年度と同程度まで回復させることや、養殖業では、2050年にはブリ、カンパチ、クロマグロなどの人工種苗の比率を100%とすることなどを目標としております。ブリやカンパチなどの養殖においては、種苗の多くを天然に依存しており、種苗の漁獲状況により生産が左右されることが課題となっております。養殖業の盛んな本県においては、人工種苗の比率が高まることで養殖業の持続的な発展が期待できます。 また、県では、高知マリンイノベーションの取組の中で、漁場や潮流の予測に加えて、今年度から様々なデータを基に利益を見える化し、出漁の判断などをサポートする操業効率化支援ツールの開発に取り組んでいるところです。こうした操業の効率化の取組により燃油使用量の削減を図り、グリーン化を進めてまいります。 さらに、藻場などによるCO2の吸収、固定が期待されているブルーカーボンの取組を進めるため、今年度から本県沿岸域における藻場の分布状況の調査を開始したところでございます。 県といたしましては、国の動向を注視しながら、今後もこうした取組を着実に進めることで、水産業の生産力向上と持続性の両立を目指すとともに、カーボンニュートラルの実現につなげてまいります。 最後に、本年3月に策定された国の水産基本計画と漁港漁場整備長期計画の受け止めや推進についてお尋ねがございました。 新たな水産基本計画は、資源管理の着実な実施、水産業の成長産業化、漁村の活性化の3つの柱により適切な資源管理を通じた水産業の成長産業化を図り、次世代を担う若い漁業者とその家族の将来にわたる安定的な生活の確保などを目指すものです。また、新たな漁港漁場整備計画は、持続可能な漁業生産の確保、水産業の成長産業化、漁村の魅力と所得の向上の3つを重点課題とし、拠点漁港の生産・流通機能の強化や地震・津波対策の強化など、漁港、漁場、漁村の総合的かつ計画的な整備を推進するものです。 この2つの計画にはデジタル技術の活用や輸出の拡大、新規就業者の確保・育成、グリーン化の推進、地震・津波対策などが講ずべき施策として位置づけられており、本県の産業振興計画などの取組と目指す方向や施策は合致していると認識をしております。 県では、水産業のデジタル化を図る高知マリンイノベーションや米国、中国などの有望市場への輸出拡大、漁業就業支援センターを核とした新規就業者の確保、防災拠点漁港における防波堤の粘り強い構造化などに取り組んでいるところです。 今後も、国の動向を注視し、国の事業も積極的に活用しながらそれぞれの取組を着実に進め、本県水産業の振興と漁村の活性化を図ってまいります。 ○仮議長(弘田兼一君) 農業振興部長から先ほどの答弁における発言に誤りがあったとして訂正したい旨の申出がありましたので、発言を許します。   (農業振興部長杉村充孝君登壇) ◎農業振興部長(杉村充孝君) 先ほど桑名議員の食料安全保障の強化に関する質問の答弁のときに、私が発言を誤って、急激な円高と申し上げましたが、正しくは、急激な円安で訂正させていただきます。よろしくお願いします。 ◆19番(桑名龍吾君) それぞれ前向きな答弁をいただきましてありがとうございます。2問目はございませんが、2点ほど要請をさせていただきたいと思います。 1つは、特別養護老人ホームの整備についてでございます。答弁でも前向きな答弁をいただいて、これから検討ということでございますが、やはり国の基準に沿ったままであるのが神奈川、岡山、福岡、そして高知県の4県ということでございます。47都道府県の中で、どんどんどんどん基準を緩和しているのはどうしてなのかっていうことをまたしっかり見極めていただきたいと思いますし、利用者にとっても選択肢が増えるということ、そして施設にとっても、この介護人材が不足している中、少しでも介護人材がかからないようにするためには、こういったことで各県も対応しているということでございます。それぞれ高知県も実情があろうと思いますけれども、これは安芸市のほうから先般の出先調査で危機管理文化厚生委員会のほうに要請があったというふうにも聞いておりますけれども、検討していただきたいということを要請しておきます。 そして、もう一点は、避難所における体育館の冷暖房化でございますけれども、確かにこれは1億円ぐらいかかるんですが、予算がないからといってそのままにする、しておくということもできないと思います。災害が起こるたびにその避難所の在り方っていうことは、これはもう社会問題になっていて、その機能強化をどう図るかっていうのはやっぱり考えていかなければならないと思います。 そこで徳島県というのも、これは全部の学校には難しいんでしょうけれども、一つモデルとしてつくっていったということでございます。確かにお金がかかって県の財政を揺るがすことになってはいけないんですけれども、いつ国からまた助成があったりしたときに、すぐにでも体育館の冷暖房化っていうものができるように、私はやはりシミュレーションをして頭の体操はしておくべきというふうに思っております。この問題も予算が来るまで待つんではなくて、しっかり予算ができたらやれる体制というものをつくって、教育委員会も対応していただきたいと思います。 この2点を要請いたしまして、私からの一切の質問とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○仮議長(弘田兼一君) 以上をもって、議案に対する質疑並びに一般質問を終結いたします。----------------------------------- △議案の付託
    ○仮議長(弘田兼一君) これより議案の付託をいたします。   (議案付託表配付) ○仮議長(弘田兼一君) ただいま議題となっている第1号から第15号まで並びに報第1号及び報第2号、以上17件の議案を、お手元にお配りいたしてあります議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。   〔議案付託表 巻末200ページに掲載〕----------------------------------- ○仮議長(弘田兼一君) なお、お諮りいたします。 ただいま各常任委員会に付託いたしました議案につきましては、会議規則第46条第1項の規定により、6月21日までに審査を終わるよう期限をつけることにしたいと存じますが、御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○仮議長(弘田兼一君) 御異議ないものと認めます。よって、各常任委員会に付託いたしました議案につきましては、6月21日までに審査を終わるよう期限をつけることに決しました。付託されました各常任委員会は、期限までに審査願います。----------------------------------- ○仮議長(弘田兼一君) 以上をもって、本日の議事日程は終了いたしました。 お諮りいたします。明16日から21日までの6日間は委員会審査等のため本会議を休会し、6月22日に会議を開きたいと存じますが御異議ありませんか。   (「異議なし」と言う者あり) ○仮議長(弘田兼一君) 御異議ないものと認めます。よって、さよう決しました。 6月22日の議事日程は、議案の審議であります。開議時刻は午前10時、本日はこれにて散会いたします。   午後0時8分散会...